高畠導宏さん

今日、教会のある人と高畠さんの話をした。彼はプロ野球の打撃コーチを30年務めた後、58歳にして高校の先生となったが、わずか1年ちょっとで膵臓癌になり、3年ほど前に亡くなった人だ。
コーチ時代は7球団を渡り歩き、30人以上のタイトルホルダーを育てた。日本の打撃コーチでもベスト3に入る人だと思う。元西鉄中西太さん、元南海・近鉄新井宏昌さん、そして高畠さん。
彼の特徴は、とにかく選手の長所を伸ばす点だ。特に自発的に聞いてくる人によく教え、一人一人に合った指導をし、球界の常識では考えられないような練習法を採り入れていた。かつ、配球を読む・クセを盗むのが抜群に上手かった。イチローや落合といった大打者の成長も、彼の指導があったことが大きい。
彼はプロでコーチをするうちに、心理学の必要性を感じ、大学の通信教育で学び始めた。それを数年かけて終了する頃(50歳代後半)に、もっと若い人の指導をしたいと思うようになり、教育実習をして、そのまま高校の先生になった(社会科)。この時はニュースでも結構話題になった。プロ野球のコーチを断って(当然いろいろな球団からオファーがあったが)、先生になる夢を実現した人として。
その後のことはあまりよく知らなかったが、本が出版されており、それを読んでいろいろなことを教えてもらった。
「甲子園への遺言―伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯」門田 隆将著(講談社

彼はいろいろなことを言っているが、特に印象に残ったのは、以下のようなことかな。
コーチングの際は、人の良い点を伸ばしてやることを考える
・夢を持って、絶対に諦めないこと
・気力が重要
特に3点目について、先生時代に生徒や同僚へよく語っていたらしい。これに学校全員が刺激を受け、未だに気力という言葉がその高校の合言葉になっているとか。本の最後の方に、少しだけ先生時代の話があり(他は選手時代やプロのコーチ時代の話が多かったが)、その章の冒頭に、「気力」についての5つのことが書いてあった。
1.気力こそ人生の原動力
2.遮二無二やってみる
3.運は自ら開け
4.気力は反復によって養われる
5.何か1つモノにせよ

結局、気力とは諦めないことと同義だと思う。この本、サラリーマンや先生などがコーチングの本として読むのにも最適だと思う。

ちなみに、高畠さんのこの話(先生時代)をモデルにした話が、先日までテレビドラマになっていた。「フルスイング」というタイトルで6回放送された。番組は大反響だったらしい。僕も興味があったので見たが、途中からじゅんぽろと一緒に見て、最終回は涙・涙だった。こんな良い先生がもっと沢山いたら、子供達は幸せだよねと言いながら、見ていた。スクールウォーズでお馴染みの伏見工業・山口先生と同じような感覚を覚えた。僕らもこういう人に教わりたかった。

野球界には、プロアマ規定があり、プロの出身者は2年間アマの指導ができないが、あと1年したら野球部の監督になって甲子園出場、いや全国制覇を本気で目指していたらしい。高畠さんが指導する姿・高校を一度見たかったなぁ。