人生の実力

精神科医であり、日本のホスピス運営の先駆者である柏木哲夫先生の「人生の実力」という本に、こういうくだりがある。

『物事が順調に進んでいる時には、その人の本当の力は見えにくい。辛い、悲しい、苦しい、やるせない状況、すなわち自分にとって不都合な状況になった時、どのような態度で与えられた状況に対処できるかで、その人の「人生の実力」が決まる。苦況の中にも、生きている証を見ることができ、その状況を幸せと思えるかどうかで、人間の実力が決まる。』(「人生の実力」p34-35より引用)

私にはまだまだ、人生の実力なんて無いなと思う。でも今が、その実力をつける時期なのだ、とも思う。

その実力をつける訓練は、1人で成すものではなく、イエスさまと、周りの人たちの助けがあって、できるものだと確信している。

苦しい時には(どんな時でもだけど)、まず第一に神を求め、神から力をいただき、神から導きをいただくのは大前提。神の言葉より、人の言葉や、人の援助に依存しすぎるのは信仰的ではないのも同意する。

でも「クリスチャンの成長を阻む12の誤解」にあるように、神がいれば人はいらないかというと、それは大間違いだと確信している。

神さまは、今の時代もあっと驚くような奇跡で私たちを助けることも大いにあるが、人を通して、私たちの理性で理解できる方法で、助けてくださることの方が多いようにも思う。

本当にしんどく、正気じゃ無くなりそうな時には、信仰的な助言はもちろんだが、人間的な励まし、物質的な励ましが、どれほど助けになることか。

短い文章であっても私を覚えて祈ってくれていることを伝えるメール、励まし・心配の言葉、電話、手紙、ただ顔を見に来てくれたり、お花やおいしい物を届けてくれる家族や友人(信仰の有無は関係なく)や教会の人達…、それがどれほど、私の心を慰め、強くしてくれることか。フェイスブックの何気ない書き込みでさえ、励ましをもらっている(レス全然してなくてすみません)。

以前、製薬会社に勤める友人にこう言われたことがある。

「薬で病気は治らないんです。薬である程度のところまで状態を良くするだけで、最終的に治すのは自分が持つ免疫力なんですよ」

薬屋がそう言うのも面白いが、なるほどと思った。教会でも、同じようなことを言われたことがある。

「薬で人の心は癒されないんだよ。薬でイエスさまと交わりができるところまで正気に戻して、最終的に癒して下さるのはイエスさまんだよ」

人との関わりも、そういうものかもしれない。

確かに人の言葉を受けるだけでは、それに依存するだけでは、本当の癒しや回復は無い。

でも、人からの慰めや人の助けを相手と神に感謝して受け取り、神に栄光を帰すことで、人からの物心両面での援助は、私をある程度まで正気に戻す助けとなったし、結果として神に近づく助けとなったのは間違いない。

人の助けを受けるのも、謙遜にならなければできない、とつくづく思う。

自分が弱い者であり、援助を受けることが必要な者であると認めるには、プライドが砕かれなくてはいけない。

自分で何とかできるから大丈夫です、と言い続けるのは、とても傲慢になっている場合がある。

目に見える人の助けを受けることができずに、目に見えない神の助けは受けられない、と思わされている。

こうして神と周りの人達からの助け、慰め、励ましを受けながら、「自分にとって不都合な状況」に何とか対処していくことで、冒頭に引用した『人生の実力』が養われていくのだろう、と思う。

そして、現在の「自分にとって不都合な状況」を通り過ぎたら、今度は不都合な状況の中で苦しむ周りの人たちを支えていく側に回れたらと思う。

私のために、祈ったり、助けたりして下さっている、おひとりおひとりに、心から感謝しています。

最後は、はちこさんの完全にパクリですが…、

Aちゃん、Bさん、Cさん、Dちゃん、Eちゃん、Fちゃん…、あなたたちのことを私も祈っています。なかなか具体的に助けてあげることができなくてごめんね。でも、ただただ主の具体的な助けを信じて祈っています。

人生の実力―2500人の死をみとってわかったこと

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クリスチャンの成長を阻む12の誤解

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  • 作者: ヘンリー・クラウト゛,ジョン・タウンゼント,中村佐知,中村昇
  • 出版社/メーカー: 地引網出版
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