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あまり読んだことのないタイプの本を読んでみている

6月11日、震災から3ヶ月たった日の朝日新聞に、現在の阪大総長であり、哲学者である鷲田清一さんの寄稿文が載っていた。
私はその内容に深く考えさせられ、それ以来、この人の本を読み始めた。

哲学者の著書というのはあまり読んだことがなかったので、読むのに根気はいるけど、立ち止まらせる言葉がたくさんある。

一応クリスチャンの端くれである私としては、世の中の学問に、人生の問題に対する本質的な解決があるとは思っていないけれど、教えられることはたくさんあるな、と感じる。

以下、沈思黙考してしまった一部分を紹介。

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生きてゆくには、困難と格闘するしかない


こういう時代に大事なのは、「わからないことを、わかることで歪めてしまわないこと」です。歪めることで、わかりやすいストーリーをつくっても、そのストーリーはすぐに破たんします。ごまかしはきかないのです。


哲学の思考は、政治の思考に似ています。別な言い方をしますと、哲学は学校で学びますが、学校の思考とは正反対なのです。なかでも、受験勉強は、哲学の思考とは正反対です。入学試験ではまず、どの問いが解けて、どれが解けないかを判断します。解けない問題はとりあえずパスして、わかる問題で勝負します。時間が余ったら解こうと決めます。しかし、生きてゆくうえで大事なのは、その逆のことです。わかっていることは、もう考える必要はないからです。大事なのは、わからないが無視できない、どうしても避けることのできない問題に直面したときに、これとどう格闘してくぐり抜けるかなのです。


(一部略)


人生にも、そういうところがあるのではないでしょうか。だから、答えはすぐには見いだせない、そういう難しい問いに直面したときに、それを押し隠すのではなく、別の言葉でかんたんに解釈してしまうのでもなしに、その問題の切実さ、重要さをしっかりみきわめながら、いまは答えがなくてもわからないままにどう対処すべきか、生き方の方針をどう立てるのか、それを考える。そういう思考法が、人生においては必要です。

(「死なないでいる理由」鷲田清一 P246-247)

死なないでいる理由

死なないでいる理由

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